平成27年度4月コラム ◆ 世界へ飛び立つ 子の育ち ◆

2015年04月13日

理事長コラム

春 ポカポカテクテク

世界へ飛び立つ 子の育ち

 

今年も、園庭の桜が、ふっくらと枝を広げて咲き、まるで綿菓子を重ねたようなみごとさです。

でも、この時期は、気温があがったり下がったり、夏日の翌日に、冷たい風が雨となって強く吹いたりします。

冷たい風が吹くたびに、桜は、悲しげに枝をたれ、身震いをして、花びらを空に吹き上げて散っていきます。

「かぜくん おねがい やさしくふいて、

「進級式・入園式までまって くれないかなぁ」

   みんなの なかよし けんしんくん

   はやね はやおき なんでも

   たべて ぐん ぐーんぐん

   大きく なぁーれ

   みんなの なかよし けんしんくん

   とんだり はねたり げんきに

   あそび ぐん ぐーんぐん

   大きく なぁーれ

竹組・松組さん、進級おめでとう。そして、おまちどうさま、花組さん、ご入園おめでとうございます。

プラタナス、ミヅキ、白樺、百日紅・・・園庭の木々は、朝顔の芽のようにクルクルと巻いて

お友だちの登園を待っています。

先生たちも、お天気の良い時は、庭にでて、ペンキ塗りをしました。

ブランコ、ベンチ、下足箱もきれいになりました。

そして、清掃会社の若いお兄さんたちが、軽快な音楽をかけて、ホール、保育室、トイレ、給食室・・・

を消毒し清掃をしてくれました。

幼稚園は、ポカポカ、テクテク。そして。ピカピカになって、お友だちを迎える準備ができました。

「さぁ はるですよ。ようちえんのはじまりです。」

   立て!

  走れ!

  飛べ!

  健伸の子よ 青き大空振り仰ぎ

  英知と勇気とたくましき、羽音高く飛び上がる

  ゆくは、果てなき 大宇宙」

 健伸の園歌に、世界に飛躍する子どもたちの力

「グローバル・コミュニケーション」を織り込んでいます。

 これからの時代を考えると、三歳から七歳の成長期に、

 ①意欲もってチャレンジする「自主性」、

 ②世界のだれとでも語りい合える「伝達力と表現力」、

 ③創造性と天地を貫く直観力と感性

 ④自分を尊敬し相手の力を評価する自負と包容力

 ⑤選択をする責任と経験から得た知恵

 ⑥意欲的な実践力

 を育てるために、」仲間との共同の遊びと汗を流すワーク」を経験する環境が大切です。

本年は、慶応大学SFC(湘南藤沢キャンパス)のフリードマン研究会や長谷部葉子研究会との

連携を通して、子ども達の目を世界に広げる経験ができればと考えています。

健伸学院四〇周年記念の一環として、船橋市からの研修助成を得て、オランダのユトレヒトの

小学校を二十名の健伸スタッフで訪問しました。

オランダは、「子どもが世界一、幸せと感じている国」として注目されています。

首都アムステルダムを一歩離れると、のどかな農村風景が広がります。九州程度の国土は、

丘陵が無い牧草地、人口よりも牛、馬、豚、羊などの家畜の頭数が、はるかに多い農業生産国です。

四歳から就学する十二歳までは初等教育は、公立であっても教育方法は、独自に選択できます。

学区もなく私立も公立も無償で保護者が選択できます。

その子の学力状況で留年も選択できるのです。したがって落ちこぼれる子どもは、減少しています。

三年間から六年間の中等教育は一般進学コースと技能を重視した職業コースに分かれます。

その間の学習を通して、上の実務専門学校や大学進学の準備をします。

つまりは、十三歳の年齢で将来の進路を決めて技能と教養を深めていくわけです。

大学進学率は八%で、修了率は五%、大学の位置づけはかなり高く、卒業も厳しいそうです。

注目されることは、二十三歳までは、社会性を身に着けるために、意欲があれば、

再度教育を受け直す権利が保障されているということです。

オランダの人たちは「教育を受ける権利」と称しています。

オランダの子ども達が「自分は幸せ」と感じる理由は、教育を与えられるのではなく

自由に主体的に学び合うという考え方が保障されていることです。

この自由に主体的に学び合う教育が「PISA」の上位ランクで立証されています。

私たちが、視察に通ったイエナ教育の小学校の子ども達は、明るく積極的で、

日本の国の文化、政治、教育について、掘り下げて質問してくる姿勢が見られました。

「子ども達が幸せと感じる」理由のもう一方は、物の豊かさではなく、

子どもの育ちを支えていく「家族と共に過ごす時間」を国が子どもに保障している政策を進めていることです。

視察した公立学校、私立学校のいずれも昼食時になると子どもは、家庭で食事するために帰宅します。

給食制度はなく、昼休みは、休憩時間として教師に保障されています。

親が働いていて不在の家庭は、保護者会のボランティアでカバーをしていました。

「共働き家庭が多いにもかかわらず、なぜ、生徒が、早い時間に下校して家庭で過ごせるのか?」と問うと、

校長は、こともなげに「オランダでは労働時間差別禁止法があって、時間あたりの賃金や社会保障は、

パートでも常勤との差はあまりない。したがって、子どもの成長期には、できるだけ家庭で

子どもと共に過ごす時間を多くして、その後、常勤に戻れるようなシステムができている。」

と答えてくれました。

日本で検討されているワークシェアーとは、異なり「個人の幸せ感」で個人個人が仕事と家庭の時間の

バランスを調整し、働き方を自身で選択していくという価値観の相違を感じさせられました。

私たち日本人は、「物の豊かさを求めて、何か大切なものを失ってきたのではないだろうか?」

考えさせられる今回の研修視察でした。

「幼稚園は親と子どもの広場です。」

よろしくお願いします。