♣理事長コラム12月号「ドロンコあそびは脳を活性化させる」
2020年11月25日
園庭の木々が枝を広げてくれたおかげで、コロナの酷暑も子どもたちは、木陰で鳥や虫と共に涼しく楽しむことができました。
しかし、木々は葉を落とし冬支度。園庭は落ち葉で山盛りの状況です。
「たき火で焼き芋」もできず、穴掘り作業が朝の日課です。
その穴を掘る場所も無くなって、園庭の中央に直径6メートル、深さ2メートルの大きな穴を掘っています。
さっそく、年長の松組さんが、リヤカーやバケツ持参で手伝ってくれています。4歳児、竹組さんも砂場の道具を持って参加。そこに、年少、花組さんがうれしそうに侵入。男の子も女の子も、大きなドロ穴に集まり、滑ったり、転んだり、穴を掘ったりで、大賑わいです。
プラタナスの大きな落ち葉は、布団のように気持ちがよい。
子どもたちは、もぐったり、くぐったり、シャワーのように落ち葉を頭から浴びたりして、楽しんでいます。密にならないように注意しながらしばらくは、見守っていきます。
年少の花組さんは、穴から掘り出した粘土質の土が、ドロ団子作りにサイコーとわかったのでしょう。硬い土の塊を砕いて丸め、山砂をまぶして、ツヤツヤのお団子ができました。
マスク、うがい、手洗いを習慣化して頑張っている子どもたちの健気な姿を見るにつけ、先生たちも頑張ってくれています。
楽しいときは脳が活性化する
12月を迎えました。この時期は、子どもは、それぞれのプログラムに沿って、目に見えるほどたくましく成長していきます。
今年は、できるだけ保育室から出て、外遊びを心がけています。
外遊びは、動きが制約される保育室と異なり、気持ちも解放され、視野も広くなり、友だちとの関わりも広がっていきます。
コマ回し、縄跳び、鉄棒、木登り、ドッチボール、穴掘り、芝生ゾーンでの側転、ボール投げ、ロープの結び方・・・外でのあそびを通して、友だちどうしで学びあいながら、知恵や技能を身に付けていきます。
この時期になると、年少、花組は、行動範囲も広くなって、大きな園庭にでて、活発にあそんでいます。ブランコも順番に並んで交代するきまりもわかり、友だちとの関わり方もわかるようになって、楽しさを感じたりします。保育室がリフォームされたこともありますが、竹組さんの保育室での生活は、整理整頓にも気配りもできて、表情も態度も明るく、見学にいらっしゃるお客様にも元気に挨拶もできてほめていただいています。ほめられてまた成長する。そんな日々を過ごしています。
年長、松組は西の空の雲の張り出し方を見て「あしたは雨が降るよ」とか、カラスの飛ぶコースを見て、天気を当てたりします。
今年も絵画表現の時間、松組さんと一緒に過ごせる時間がありますが、コロナによる様々な制約があるにもかかわらず、例年に比べて勝るとも劣らない意欲を持った生活姿勢や態度が身に付けて、運動面でもパノラマホールでの活発な動きは目を見張るものがあります。
私が担当する絵の時間の柱は、全員の絵を並べて自分の好きな絵を選んでみんなの目で絵ランド理由を発表します。自分の絵を選ぶ子を含めて、みんなの前で講評するポイントも的確で感心させられます。この時期は、自信を持つことが大切です。繰り返しチャレンジして「できた!クリアー!した」という自信が成長の柱になるからです。
5歳から8歳までの子どもの話は、夢と現実が交差することがよくあります。お話ししながらお話が広がり作り話の世界に広がっていったりもします。
そうした場面に出会ったら、例え、あり得ない話でも、嘘話と決めつけないで頷きながら、
「竜宮城の浦島太朗さんのような気分」で、子どものお話を聞いてみては如何でしょうか。
また、この年齢期は、大人の世界にも目を向けて厳しい発言や行動を起こしたりします。
次の詩は「青い窓の会」の機関誌に掲載された7歳の子どもの詩です。
わたしがおかあさんになったら
とても すてきな人を おむこさんにします
それで ママみたいに パパをまたないで さきにねないで
おむこさんをまってます
それで ママみたいに よなかに
こそこそ ケーキを ひとりで たべないで
おむこさんをよんで ケーキやおかしをたべます
おとうさんのうそつき
よる 「トランプしよう」と よんだ。
おとうさんが、「碁を5分してからな」といった。
あっというまに5分たった。
「トランプ とってくる」といった。
「なにやる」といったら
「ねむくって やだ。またあした」といった。
かっときた。
「おとうさんのうそつき おとうさんいったでしょ。やるって」
「じゃぁ あとで」といった。
「あとじゃ いや いまやるの」といった。
「うるさい」といった。わたしはこころのなかで、
「うそつきは どろぼうのはじまり」とおもった。
子どもは正直ですから、感じたままに言葉を発することもあり、また大人以上に気遣いをしたりします。うそをつくことを楽しむこともあります。
うそは、子どもらしい空想の作り話でもあります。時には、お父さんが、もっと、非現実的でたわいの無い作り話をしてくださるとうれしいですね。
幼い頃のおねしょの経験とかの失敗談などは、子どもは大喜びします。
お茶の水大学の内田教授は、「特に害が無ければ、子どもの嘘の様な話にも耳を傾ける心も必要。6歳までの子どもは、嘘話をしたくてうずうずしているのでしょうから」と述べています。
脳が活発に成長する時期に、記憶に頼るような学習に頼るのは、もったいないと私は考えています。
5歳から9歳は、物や事を組み合わせて工夫する判断力や応用力を司る前頭前野が著しく成長する時期です。
柔らかくぶるぶると脳が躍るような楽しい学習が必要です。
この時期は、叱って育てるのでは無く、誉めて育てることが大切です。
幼稚園の頃、ドロンコになってあそびきった子どもたちは、9歳の子どもの多くがつきあたる「応用力の壁」をクリアーできる力が育ちます。
内田伸子さんは、「叱られながらやった勉強は身につかない。なぜなら、偏桃体が緊張や不快を感じると、海馬が失敗例を思い出して真っ白になる。逆に偏桃体が面白い楽しいと感じると、情報伝達物質が送られ、海馬を活性化して記憶の貯蔵庫にどんどん蓄える」と語っています。
難関学校突破組の多くは、幼児期に生き生きと泥んこになって遊んだ子が多かったというデーターがあり」とも語っておられます。
まったくその通りだと私は思っています。