5月号 ♣「子どもと生活する幸せ」♣

2017年04月26日

理事長コラム

子どもと生活する幸せ

一斉に園庭の木々がくるくると渦巻くようにみどりの芽を吹き出しました。              日曜日、古寺の境内を散策する機会がありました。ふじ、シャクヤク、山吹、ツツジが         色とりどりに咲き、蝶や蜂が幸せそうに花に群れていました。
境内に一角に、「草花、虫が幸せになる幸せの七施」と書かれたプレートが目につきました。      子育ての教えににも通じるので紹介します。

①眼施(げんせ)常に優しいまなざしで接しましょう。
②和顔施(わげんせ)にこにこと包みゆるす心で接しましょう
③言辞施(げんじせ)やさしい温かい言葉がけをしましょう。
④心施(しんせ)温かな心で接すると花どうしが育ちあいます。
⑤身施(しんせ)骨身を惜しまず世話をしましょう。
⑥状座施(じょうざせ)弱い草花虫に席を譲り優先しましょう。
⑦房舎施(ぼうじゃせ)虫さんどうぞ、わが庭でおくつろぎください。
幼稚園も可愛い花組さんを迎えて花盛りです。

朝、門をくぐるなり、砂場に走り出す花組さん。駆けつけた年長さんが、「おへやでバックをおろしてから、あそぼうね。」と、手を引いてお部屋に誘導してくれます。花組さんにとっては、すべてが物珍しい世界、鳴きながら周りを観察しているのでしょうね。それぞれ自分の居場所が見えるまで、珍しさと戸惑いの毎日ですが、それもしばらくの我慢です。

竹組さんは、新しい環境にも慣れて、保育室での自分の居場所が見えてきます。花組さんが泣いたりしている姿を横目にしながら昨年の自分をトレスしながら、自分の成長ぶりを確認しているのでしょうね。

花組から年中竹組に成長する過程は、その発達・成長の過程が形では見えにくい時期です。しかし、心の育ちは、大きく豊に成長する時期です。心にイメージする世界が豊になればなるほど、言葉や身体で表現する力が充分に伴わないために、ひっかいたり噛みついたりする時期です。言葉が乱暴になったり落ち着かない所作も目立ってきます。これも成長です。言葉の獲得が増え、様々な経験を積み、身体機能が成長にするに伴い、周りを見る目、視野がずーっと広がって落ち着いてきます。

5才のお誕生を迎える頃から、「相手の心の中に映る自分」を見る目が育っていきます。前後、左右、上下、空間や数量の感覚も育って、「経験」という栄養素を蓄積して、「生きる力」人生のアンテナとなる「自分軸」(アイデンティー、特質、個性)を育てていくカリキュラムが用意されるのもこの時期です。
松組さん、進級式はどうでしたか、年長になると、自分で判断して行動しなければならないことがたくさん出てきます。
(1)何ができるか
(2)何をしたいか
(3)そのためには何をしなければならないのか。
先生やおうちの人にたよるだけでなく、「あとでやる」という返事では無く、できることから自分のことは、自分ですぐやる習慣をつけましょう。

新しい幼稚園の教育要領の「柱」は、「学ぶ力」です。
友だちを意識し、仲間から学び、仲間と関わることで学ぶ、喜びと悩みを体験することが大切です。
国会でも取り上げられたヘッグマン教授は、「幼児期における質の高い教育の重要性」を次のように述べています。
㈠「就学前に質の高い専門的な教育刺激をうけておかないと、                       その時期にしか発達しない能力が発達しない。」
㈡「就学前における能力の発達があれば、就学後における教育の効果は大きくなる。          しかし、それが無ければ、就学後の教育効果は小さくなってしまう。」
㈢ 3歳から6歳の幼児期に、専門家が編成した「質の高い教育カリキュラム」             提供されることで、「幼児は、これからの人生をたくましく自信を持って生きて            いくための「羅針盤」を錬磨していく。

「IT社会」だからこそ、それぞれの子どもが、自分の特性を生かして生きていくための人間本能のアンテナが必要です。そのアンテナを育てるのが、素朴な人間的な「幼児期のあそびの経験を保障する環境」なのです。

6歳までの学習は、「まねび」です。子どもの成長は周囲から優れた情報を集め、模倣する「学び」(learning)が大切です。教え育てるよりも、自分で学んで自分を育てる方法を気づかせてあげるほうが力となるはずです。
子どもは、成功と失敗を繰り返して成長していきます。子どもの意見や質問に、私たちは、耳を傾け、適切な助言を与えられるように努めたいですね。
押し付けて教えると、「どうするの?」「これしていいですか?」等の指示待ちが多くなります。

また、この幼児期に友だちとじゃれあって学びあう経験が少ないと、応用力創造性が問われる四年生の頃から中学生の時期に、環境に適応できずに、反発して、閉じこもったりする心配もでてきます。
こんな子どもを育てたい
子どもたちが小学4年生になって「幼稚園で学んだことが、役にたったなぁ」と、実感できる幼児教育を目指しています。

幼児期は、空想したり、工夫したり、それぞれのイメージをふくらませて夢中になってあそぶ年齢です。
さらに大切なことは、他人の心に自分を投影して、友だちの心に自分がどのように映っているかを考える。自分は何をすれば良いかを考える心が育つ年齢です。
4歳になると、雨の色、風の音、空気のニオイを感じたままを表現する心が育ちます。
3歳の頃からの 自分の手でさわってみる、嗅いでみる、動かしてみる、等のあそ びの体験を重ねることで、感性と表現力が育っていくのですね。

4歳は「やりたいこと、思っていることをしっかり言いなさい。先生が上手にうけとめてあげるよ。」
5歳になったら、「自分でできることは、自分で考え、自分の意思で行動しなさい。先生もしっかり見てるから。」

年長。年長組に進級したら「やりたいこと、自分で、できること、そして、やらなくてはいけないこと、をしっかり考えて、友だちとあそぼう。」と伝えます。

子どもと共にある幸せを大切にしたいですね。