10月号 ♣自然に感謝 夏の思い出♣
2018年09月13日
自然に感謝 夏の思い出
この夏は、焼け付くような熱暑でしたね。プールの水温が上昇し、大気温と体温とほぼ変わらないような状況になりそうなほど暑い日が続きました。
台風も「これでもかこれでもか」と、日本列島を襲ってきましたね。台風がスピードを落としたり方向を変えたり、再上陸したり迷走しました。河川が氾濫、崖崩れ、高潮で空港が水浸し等、自然がもたらす風水害の恐ろしさを知らされました。
9月8日、夜半の北海道を襲った震度7の大地震。大規模の山崩れによって、多くの人が土砂に埋もれ心肺停止の状況で発見されています。
カナダに移住している友人が、「大丈夫か?日本は、沈没しちゃうんじゃないか?」
「最近の日本人は、馬頭観音とか地蔵さんとか、自然の神への感謝を疎かにしてるせいじゃないか」と連絡をよこしたそうです。「馬頭観音?地蔵さん? 彼は熱心なカソリック信者で、カナダ人と結婚してカナダに移住したのに・・・相変わらず勝手なやつだ」と言いながらも、二人とも考えさせられました。
国土の90%の山岳森林で四面海に覆われている日本。その狭い日本で昭和38年東京オリンピックを開催した。以来半世紀、日本は経済大国として発展して、道路を張り巡らし、橋梁をかけ、トンネルを掘り新幹線を伸ばしてきた。その施設も半世紀を経て、老朽化のため再開発の時期を迎えている。
カナダの在住の友人が、福島原発事故の際に、日本脱出を勧めてくれたが、誰もこの美しい国を離れようとしなかった。外国から見ると日本は美しい観光地だが、生活をする国ではないと思われているかもしれないが、大方の日本人はこの国土を誇りに思って生きている。
秋きぬと目には さやかに見えねども
風の音にはおどろかれぬる(藤原 敏行)
そういえば、9月に入ってから、台風の余波のように強い風が吹きますね。
今朝も貯水池公園を散歩したら「オーシンツク、オーシンツク」と秋蝉が鳴いていました。
風の向きも、風の色も太陽の色も向きも光も傾斜も、すっかり秋ですね。
9月9日、「目黒のさんま祭り」だったそうです。NHKテレビのニュースで目黒区民が大量のサンマを食べている映像が報じられました。三遊亭金馬が得意としている落語で、初めて目黒でサンマを食した殿様が「やっぱりサンマは目黒に限る」とほめた一言が縁で伝わる「目黒のサンマ祭り」で、いよいよ秋。
あわれあきかぜよ 情あれば伝えてよ
男ありて 今日の夕餉に 一人サンマを食らいて
思いにふけると
さんま さんま そが上に 青き蜜粕のすを したたらせて
さんまを食らうは その男の故郷のならいなり
有名な佐藤春夫の詩です。このさんまの歌は、秋の気配を感じさせられます。そして臭いも漂い、コンロに炭火、網の上に塩をまぶして、うちわで風を起こす様、煙に目を細める姿・・・秋の気配が絵になりますね。
秋には、色が有る、音が有り、臭いが有る。
私は、さんまを食べるたびに亡き母を思い出します。二人が座る小さな円い食卓に一匹のさんまが半分。頭は私で、母がしっぽ が母子家庭の母のルールだった。
駅から帰路、さんまを焼く煙と臭いが漂う生垣の向こうから聞こえる団らんの声を聞きながらほのかな憧れと寂しさを感じたりした高校時代。
秋の気候は すっきりだが、心はなぜか物憂い。佐藤春夫のこの「さんま」の詩から、思いが届かないもどかしさを感じませんか。
生真面目で不器用な男が、庶民の魚をうたいながら、もどかしさをうったえていますね。どうにもならない想いを伝えられない、伝えてもどうにもならない男心のもどかしさ。このもどかしさは「秋特有のもどかしさ」の様な気がしたりします。
想いに悶える秋の風。
「春になると、恋が芽生えれ、秋になると恋も終わる」
年長の夏の泊まり会のキャンプファイア。
私が登場して歌い続けてきた曲「山賊の歌」です。
雨が降れば 小川ができ、風が吹けば 山ができる
ヤッホォ ヤホッホー 楽しいところ
夜になれば、空には星、 月がでれば おいらの世界
嵐になれば、波が立ち、波が立てば 船が沈む
はーるになれば、恋が芽生え
(わかるかなぁ?)と問いかけると うなずきながら
「らぶらぶ になることでしょう 」とあちこちで子どもがささやく。
あきになると、こいも おわる
秋になると、恋が終わる
(わからないよね)(わからなくていいんだよ)
翌朝、「山賊の歌 おしえて」のリクエスト。理由は、「お母さんにあいたくなっちゃったから」(どうやら秋になると 恋も終わるが ポイントらしい。)
やはり「秋」は子どもでも物悲しく、お母さんを思い出すんでしょうね。秋はふる里なんです。秋は、大人であれば、「物憂い恋」なんでしょうね。子どもにとっては、「お母さんのミルクの臭いなんでしょうね。
実は、この「さんま」は生真面目な佐藤春夫の熱烈な「恋歌」です。妻の妹と浮気をして煮え切れない夫婦関係にある友人谷崎潤一郎。彼は、このサンマの詩を契機に妻と佐藤春夫の恋を認め、結婚を承諾する決意をするきっかけになります。二人の文豪が一人の女性を巡って物憂い永年の関係に終止符を打ったといわれる「さんまの詩」です。
楽しみにしている運動会、曲も振り付けも衣装も決まって園庭にこどもの歓声が響きます。
秋は何といっても運動会。
運動会には、人それぞれ思い出がある。
運動会には、家族団らんがある。母子家庭だった私にも運動会には母が近所の人の輪の中にいた思い出がある。運動会には青い蜜柑があった。
運動会には、喜び、心の高まり、くやしさ、頑張り、緊張、達成感があります。そして、家族の目に包まれて参加する喜びがあります。
それぞれのお子さんは、意識をもって頑張ったからこそ、味える喜びと悔しさ。幼児期だからこそ、その育つ心を大切に包んであげたいと思っています。